シラバス情報

講義名
東北生活文化論
(副題)
授業科目区分
教養科目−歴史と文化
配当年次(この年次以上は履修可)
1年
履修区分
選択
単位数
2単位
講義区分
講義
学期
2026年度前期
時間割
木曜3限
教室
大講義室

代表教員
石倉 敏明
担当教員
石倉 敏明

オフィスアワー
前提とする授業、密接に関係する授業
授業に関連するキーワード
東北、生活文化、祭り、歴史と伝承、環日本海、先住性、中心と周縁
授業の到達目標及びテーマ
東北には、生と死、人間と非人間を分離することのない、ユニークな文化が現在も各地で継承されている。そして大都市圏を中心とする芸術・文化システムを相対化する新たな価値観が生まれ、古いものと新しいものが出会う豊かな可能性が生まれつつある。



本講義では秋田を中心に、東北地域全般の特色ある生活文化を主題とする。各地域の文化的多様性を正しく理解することによって、国家以前から多種多様な集団が共存し続けてきたダイナミックな場所性の認識を再獲得し、地球規模の見取り図の中に東北を位置付ける視点を学ぶ。講義の主題に関係するさまざまな資料だけでなく、物語や芸術表現(作品・プロジェクト・建築等)を参照し、新たな世界形成のなかに活かされる歴史的存在論を獲得する。
授業の概要
東北の人々が口にする「故郷には何もない」というありふれた認識は、果たして正しい歴史や社会的現実を反映しているのだろうか?大都市圏出身の多くの知識人やアーティストが陥ってきた「進歩的な都会」vs「経済発展が遅れた田舎」という二項対立の認識は、果たして正当なものだろうか? 無意識のバイアスは、むしろ豊かな歴史を歪め、地方と都市の位置付けを乱暴に固定してきてしまっているのではないだろうか?



この授業では旧石器時代・縄文時代から現在に至る東北地方の生活文化史を概観すると共に、特に秋田地域で育まれてきた生活様式や生業のあり方、祭礼、行事、芸術、思想について、周辺地域の特色とも比較しながら考察する。人類学をはじめ考古学、民俗学、神話学、生態学などの横断的な見地から東北地方の実態を見つめ、地域文化の独自性や、近代において創られた伝統の特徴を、さまざまな角度から検証する。また、先住民族であるアイヌや先住集団である蝦夷の文化との関連を考察することにより、この地域の里山・里海・里川での生活文化を、日本列島を越えて東アジアや環太平洋の文化的なつらなりの中に位置づけ、人類の普遍性の中で地域社会の文化的なルーツを探究する。



授業計画
第1 回 世界のなかの「東北」  環太平洋における縄文文化

第2 回 旧石器時代から縄文時代への連続性・不連続性

第3 回 源流としての狩猟採集生活 ブナ帯の生態、狩猟採集文化について

第4 回 「東北の隣人=他者」としてのアイヌ文化を知る アイヌモシリとは何か?

第5 回 アイヌと東北の生態宇宙論

第6 回 神仏和合の山々 出羽三山と鳥海山他、山々の神話学

第7 回 死と再生の森 曼荼羅と母胎、ウバサマ信仰・ハヤマ信仰の広がり

第8 回 水界のフォークロア 三湖伝説と藻が海伝説

第9 回 里山と里川  身近な自然との関わり、鮭と熊の神話

第10 回  東北的アニミズム 草木供養塔と本覚思想

第11 回 神話・芸能・伝承 だんぶり長者伝説と大日堂舞楽

第12 回 来訪する精霊 ナマハゲからサンタクロースまで

第13 回 マタギの思想と実践

第14 回 鎮魂と創造   東日本大震災以後の東北像

第15 回 「裏日本」文化論 「環日本海」からの視点

(定期試験またはレポート)

授業時間外の学習内容等
・各自の関心に応じて、特徴ある文化を伝える場所やまつりに適宜出かけてみること。

・関心のある地域の行事を観察し、積極的に参加してみること。

・映像や文献史料を通して、学問分野を超えた「歴史的視点」を養うこと。
評価方法
授業への取り組み 30% 課題の成果(試験、レポート) 70%
履修上の注意
配布資料のほか、適宜映像資料を使用します。なお、新しい研究成果を授業に反映させるため、各回の内

容や順番を変更することがあります。

*期間中、唐澤太輔先生に担当回をお願いする可能性があります。

テキスト
各回のテキストは適宜配布します。
参考書・参考資料等
山内明美『子ども東北学』、石倉敏明・田附勝『野生めぐり』、菊地和博『シシ踊り』、小野和子『あいたくて、ききたくて、旅にでる』、知里幸恵『アイヌ神謡集』、柳田國男『遠野物語』、岩崎敏夫『東北民間信仰の研究』、中沢新一『哲学の東北』、伊藤俊治『秋田 環日本海文明への扉』、田附勝『東北』、あんばいこう『中島のてっちゃ』等。

授業実施方法
対面授業